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Rusty Field

酸の花という、作品の中にはアクリルエマルジョンに鉄粉を混ぜ込んだものもありますが、絵画材料による表現が中心になっています。枯れ行く架空の楢物のようなものをモチーフに描いていますが、一つの切り口として絵画の要素を強引に2 つに分けるとしたら、酸の花はグラウンドとフィギアに分けられると思います。つまり1 本の線(figure)は線を引くことでも表現できますが、線以外の部分(ground)を塗る事でも成立するといったようなことです。


rusty fieldでは子供の頃誰もが経験したことのある砂絵のような技法を使っています。モチーフ部分は鉄粉が接着された状態で、グラウンド部分(モチーフ以外)と相交わるようなことはありません。綿布と鉄という異質な素材感の対比は、酸の花にはない物質感の強さが見られます。この素材の大きな差は、平面ではありますが彫刻的な意昧合い
の強い絵画といえるかもしれません。


過去より、日本画に限らず金箔などの金属による画面の遮断は行われてきました。又、漆器の技法においても数多く見られる所で、目新しいことではありません。この鉄部分は、だんだん綿布に浸食をはじめるかもしれませんし、まだ一度に剥がれ落ちるかもしれません。いずれにしても、平滑lこ塗られた綿布の絵の具に、何らかの痕跡を残しながら消えていくことでしょう。


これから先の状態も楽しみの一つです。成長しているのか枯衰しているのか、その場にとどまれない刹那的な魅力を感じています。

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