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僕の梯子がなくなった以上、、、。


F-100


F-100


145×213cm

 作品は鉄粉と酸、空気、水、時間によって描かれ跡を残してきました。コントロールできないもどかしさと新鮮さは、表現として楽しく作る手がついていかないほどの速感を感じていたはずです。


 何度か続けていくうちに、このルールを壊してしまえと囁く求めに、素直に従ってみます。せっかく硬質で禁欲的な画材?で作り上げている画面に、思わずアクリルを塗ってみます。この時点で鉄粉や時間などの材料はただの絵の具の一部にまでおとしめられた
ことでしょう。


 3年ほど制作してきた題材を捨てる快感は言い尽くしがたいものでした。描くモチーフはさほど変わりませんが、とても楽な気持ちで仕上げられた作品です。こんなやり方もたまにはよいと思っています。これが大きな展開でないことぐらいは、承知していますが、 1点、 1点の思いが今までの作品とは違います。


 「酸の花」は絵の具が主体で鉄錆は二次的なものでしたが、 「僕の梯子、、、」はその反対といえるでしょう。方法は微妙にレシピを変える料理のように、少しだけ気を遺いながら。

 とりあえず今回も作品には、制作年月日を忘れずに刻印しておこうと思います。

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