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GOLGOTHAは「光、 時、 熱」といった物質ではない、 些かつかみどころのない事象を表現しています。モチーフにある伸びる植物のような形態は今までと共通しており、 絵具と絵筆で描いた絵画とは違ったものになっています。
まず「時」ですが、 ここ数年よく使用する鉄を中心とした作品です。綿布の下のバネルに打ち付けとめられた鉄線は、 綿布に刻々と錆を侵食させていきます。錆は留まることなく、 時とともに鉄線を腐食していくことでしょう。視覚として写る綿布に染み出す錆には、 この作品の時間としてのテーマが込められています。
次に「光」ですが、 これは視覚障害者にも感じられるよう触れてもらいたい作品です。パネルに綿布をポンドで密着させる際、 綿布のしわにより形態を表現しています。人間は、 光により物体を視覚化し認識しますが、 その作用をより単純に提示したものです。しわの形は光と影により存在を明らかにし、 作品を成立させています。
最後に「熱」ですが、 熱伝導率の高い金属である銅を使用しています。矩形から綿布を突き破り、 はみ出した銅線は、 バーナーで真っ赤になるまで燃やされ、 綿布の表面を焦がしていきます。綿布は少しずつ色をつけていき、 形態をあぶり出します。
3点ともに最後に作品の匂い程度のアクリル絵具による調整を行っています。
このGOLGOTHAですが、 直接的で単純なアプローチは、 タイトルにも反映されています。ある展覧会で私の作品を見た合田佐和子氏が、 「何千年のミイラを包んだ布とか、ゴルゴダの丘のイエスを包んだ布のしみあととかそんな色を感じます。」といった評を頂き「ゴルゴダ」をそのままタイトルに使ってしまいました。
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